2010年07月25日

毎日新聞転載『<生活保護>受給者急増でケースワーカー不足に 本紙調査』

『私見』
本当に深刻な状態だと思います。
私の患者仲間でも入院中に生活保護申請をされた方が大勢おりました。そういう光景を見てきた中で、日本がどう動くべきなのか考えてみたいと思います。

「生活保護受給者が増えたからケースワーカーの仕事が増え、人手が足りていない」ということですが、この状況を本当の意味で変えるには何が必要なのでしょうか。この問題を解決に導くキーポイントは3つあると思います。

■協働と連携
ひとことで言うと、
「国民の労働力を保つことが日本社会を支える最も必要な要素」
という考え方を持ち、各種機関が連携をするということです。

機能分化が進んでいる中、各所各所ではそれぞれの専門家が専門分野の高度技術をもって問題と対峙します。技術を高める意味で「機能分化」は効果を出します。しかし機能分化が進むがために、脱落者を作ってしまう逆転現象が起きてしまうことも事実です。

たとえば、貧困層が住むスラム街で寿司屋を出店するようなもので、サービス提供者と受給者がうまくマッチングしないケースが増えるのです。寿司の専門家は寿司職人としての技術を磨き、それをサービスとして提供しますが、貧困層はきっとそれを求めていません。

つまり、機能分化が進み各機関ごとの専門性で高度な技術を提供したとしても「国民の自立復帰を保ち日本社会を守る」という大義名分をすべての機関が共有しなければ、これからも生活保護受給者は増え続けるのだと思います。

私の経験ですと、医療において財政難から治療を途中で断念されたり、治療は行えたが社会復帰できずに命を絶たれたり、そういう患者様の姿を見てきました。医療・地方・企業などなど、すべてが手を組み協働で国民を守らなければ、生活保護受給者は増え続け、日本は破綻してしまいます。


■仕事のシェア
不況の折、仕方ないことかもしれませんが、なんでもできる人でなければ社会で生きていけなくなりました。特に最近需要のある介護分野においても、介護保険の制度上、例えば「送迎ドライバー」だけの職で仕事に就くことができません。それは保険制度上、お金にならないからです。結局、介護分野の有資格者が送迎も兼ねることとなります。ということは資格がなければ働き口すらありません。

資格を取ればいい。しかしハンディを背負った方もいらっしゃるはずです。ハンディを背負い介護仕事のようなハードなことはできないが送迎ならできる、などという国民の雇用の場を作らなくてはいけません。つまりはワークシェアリングです。

なぜワークシェアリングが必要なのか。それは職務経歴上、順調なステップアップが果たせなかったり、身体上ハンディを背負っているために十分な働きができない国民に与えられる雇用形態は、ほぼ「非正規」であるからです。「非正規」ということは、正規社員より給与が安く賞与が無く保障も少ない。そして非正規で定年まで働くことは難しく、給与が高くなってくると、漏れなく肩たたきにあいます。結果、転職がうまくいかず生活保護受給者となるしか道がなくなってしまうのです。ですからワークシェアが必要だと思うのです。


■共助の習慣
ハンディを背負っている人でも、少しサポートがあれば充分社会活動ができる人が多くおります。前項にもありますが、1人が多くの役割となって働くことが必要とされているせいか、ハンディを背負った方の雇用の口は驚くほど少ないです。

医療機関であっても、施設であっても、ハンディを背負った人をサポートするのはなぜか?それは社会生活を営んでもらうためだと思うのです。だったら「治ったが働けない。結果として生きていけない」という社会を放っておいてはいけません。

社員全員に立ち仕事と座り仕事を課していたとしても、座り仕事が存在するのであればもっと身体にハンディを背負った人をそこに登用する積極的な取り組み、また社員間であっても手助けをしながら共に仕事をやりこなしていく精神が、これから大事になってくると思います。

・まとめ
結論、ケースワーカーが不足しているからといってケースワーカーを増やすだけでは全く問題は解決しないと思います。



7月18日15時18分配信 毎日新聞 転載
 生活保護世帯を定期的に訪問して、受給者の生活実態を調べる自治体のケースワーカーが不足し、全国主要74市・区の半数にあたる37市・区で、1人当たりの平均受け持ち世帯数(09年度)が100世帯超の「過重負担」になっていることが、毎日新聞の調査で分かった。こうした市・区は09年度までの5年間で1.5倍に増加している。景気低迷で受給世帯数が急増する一方で、自治体によるケースワーカーの確保が追い付いていない現状が浮き彫りになった。【小林慎】

 自立に向けた生活指導がケースワーカーの主な役割だが、受給者らへの面談などで保護費の不正受給がないかどうかのチェックも担う。このため、関西で発覚が相次ぐ「貧困ビジネス」を見逃している原因の一つに、ケースワーカー不足があるとされている。

 毎日新聞は5~6月、道府県庁所在地、東京23区、全国の政令市を対象にアンケート配布して回答を得た。

 回答によると、ケースワーカー1人当たりの平均受け持ち件数の多さは関東、東海、近畿、四国の各地で際立つ。全国一の受給世帯を抱える大阪市をはじめ、東京都区部、名古屋市と、大都市が上位を占めた。

 一方、04~09年度で平均担当件数の増加率を調べたところ、1位が津市の38%、2位が福井市の35%と続き、トップ10に相模原市、佐賀市などが入った。16位の高知市(16%)は全国の道府県庁所在地で唯一、ケースワーカーの人数が増えなかった。大都市に比べ受給世帯の少ない地方都市でもケースワーカーの負担が増している。

 74市・区の09年度の受給世帯数は、5年前の1.3倍となる約80万世帯に増加している。社会福祉法はケースワーカーの標準定数を規定。市・区の場合は、実際に受給家庭を訪問しない面接相談員を含めた「現業員」1人につき80世帯となっている。


tobyoaniki at 09:48│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

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